●RECごっこ
SMSに召集されたブレラ…の後ろについて歩く、愛用の緑の生体携帯(バイオセルラー)を掲げ持つランカを見てオズマは妙に思った。
「ランカ!何してるんだ?」
「あ、お兄ちゃん!おはよう」
「それムービーモードか?何撮ってるんだ」
「今日は私がブレラさんを●REC(録画中)なの!」
ランカは楽しそうに笑って生体携帯でブレラを撮影し続けている。
「…ブレラを!?」
「いっつも私ばっかりメモリー保存されてて、不公平なんだもん!」
「…お前のせいかブレラぁぁぁ!!!」
オズマはランカに悪影響を与え、奇行に走らせた原因であるブレラに向き直って叫んだ。
当のブレラはいつも通り涼しい顔で。
「…俺もやめさせようとはしたんだが…朝からやめてくれないんだ」
「ノロケか!?それはノロケなのか!!?」
ブレラは、ランカが昨日から何か良いことを思いついたかのようにソワソワしていたのに気づいていたし、朝起きてすぐ自分に携帯が向けられていることにも録画開始から0.1秒も立たずに気づいた。
ずっとランカを見ていたから。
そしてブレラは、そんなランカを●RECするという不毛な展開を繰り広げ、召集がかかり現在に至る…というしだい。
「ずっとレーザー照準を当てられてるようで少し落ち着かない。 ランカだとわかっているから別に良いんだが…」
と言うブレラだったが、その様子は充分過ぎる程、落ち着いて見えた。
いや、もしかしたら、見ているのがランカだから落ち着かないのかもしれない。
だが基本的にブレラはランカの望み最優先なので、ランカのしたいことは、あまり強くは止めない。
止められない。
「……(あぁやっぱコイツに言っても無駄だ)」
と、痛感したオズマはランカの前に立ちふさがった。
「!?何するの、お兄ちゃん!どいて!」
「ランカやめるんだ!こんな無表情な奴、撮り続けても空き容量の無駄だっ!」
ランカはブレラに向かって携帯を向けようと小柄な体と腕を伸ばすが、ことごとくオズマに阻止される。
「なんでそんなこと言うの!?お兄ちゃんこそ、やめてよ! 今日はブレラさんに、いつもの倍返しするって決めてたのに!」
「倍返しだと!?」
それって一体どのくらいの量の動画を撮れば、ギャラクシー最新のサイバーアイを搭載しているブレラの倍に辿り着くんだ!?とオズマは思い歯噛みした。
「ダメだ!そんなことして、もし変な噂にでもなったらどうする! 超時空シンデレラがストーカーなんて!」
「お兄ちゃん心配し過ぎだよ! ちょっと撮影してるだけなのに、なんでストーカーなんて」
「こんな奴を…こんな奴を撮るくらいならなぁ…俺を撮れ!!!」
と、言って泣き崩れたオズマを少し離れたところで巻き込まれないように聞いていたアルト達は
『あ、隊長…本音もれたな』
と思ったが皆、口には出さなかった。
「もうッ、仕方ないなァ…」
しぶしぶランカは、しばしの間オズマに携帯を向けて動画を撮った。
「あっ、もうこんな時間になっちゃった。仕事いかないと…」
時間を確認したランカは、ぷくーっと頬をふくれさせた。
「ぎりぎりまでお兄ちゃん撮ろうと思ってたのに…お兄ちゃんに邪魔された」
「…帰ってきたら、また続ければいい」
機嫌の悪くなったランカを見かねたのか『落ち着かない』とか言ってたハズのブレラは、そう言って慰める。
「…うん!忘れちゃ嫌だよ!」
ブレラに頭を撫でられてランカは、ぱあっと花が咲いたような笑顔になった。
手を振りながら仕事場に向かって駆け出してゆく。
「あ、そうだ」
そしてまた何かを思いついて…いったん、しまおうとした携帯で何やらメールを打ち始めた。
その日の晩にオズマが帰宅するとキャシーが自分の携帯を片手に待ち構えていた。
「キャシー?何してるんだ…?」
「今日、ランカちゃんからメールがあったのよ〜『お兄ちゃん、いっぱい撮られたいみたいだから!帰ってきたら、●RECごっこしてあげてくださいね!』って♪」
「……」
そういえば、そんなことがあったなと午前中のやり取りをスッカリ思い出し、溜め息をつくオズマをキャシーは録画した。
≪おしまい≫
〜☆〜★〜☆〜★〜☆〜★〜☆〜★〜☆〜
オズマやキャシーさんの扱い…笑って許して下さい…!m(__)m←
なにこれストーカー兄妹?…●RECネタ大好きです!
ランカは1人のときに録画した生ブレラムービーを再生して淋しさまぎらわせればいいのです←そんな歌姫って…(´ω`)
ブレラはSMSお預かり兼バイトになってる確定いうことで…呼ばれ方も、その時のランカの気分てことで。
オズマが居るときはややこしいから、なるべく『ブレラさん』呼び…でも、つい『お兄ちゃん』が独り言のように出たり。
2人っきりの時は基本『お兄ちゃん』だけど、何かの拍子に兄妹だと判明する前のこと思い出して懐かしくて(?)
『ブレラさん』呼びしてみたり…テキトーに!←