チカナナです


 

 望郷

 

はじめて出会った日。
あの人(※明智光秀)の紹介だったから、同系列の人だったら どうしようかと思っていたが…全然違う人だった。

「…よかった(嘘だったのね、姫和子だなんて…一朝一夕で、 そんなに逞しくなるものですか。)」

あながち嘘でもないらしい?のだが、そんな昔のことなど菜々には知るよしもない。

なんて呼べば良いか聞いたら普通にアニキでも良いぜと言う。
…実の兄にもそんな呼び方したことないのに?
様付けは堅苦しいからと1番最初に却下されたので…親さ ん、と呼ぶことにした。

「俺はお前の一族の血筋が欲しくて、お前を娶ったんだ」

そんな話を聞いた。
不思議と嫌な感じはせず(奴ではなく別の男に言われ たら、多分ムカッときそうだ…) そうか、それならあの一族の女に生まれたかいがあった等と思 ってしまった。
不思議とそう思わせてくれる奴で。
私はすぐにこの島に馴染んだ。
少し故郷が懐かしいときもあったけれど…でも、この鬼ヶ島だ って、もう私の故郷だもの。
寧ろこっちの空気のほうが性に合っているのかもね…そう思い 始めた矢先。

「織田と…明智と、戦うことになった」

もしそんなことがあっても気丈に振る舞おうと、振る舞えると 思って覚悟していたはずだったのに…やはり気弱になりそうに なる。

「…私…此処に居て良いの?」

空気が、重苦しい。

「当たり前だろ?別にお前が気にすることねぇよ。
明智に紹介 された嫁だからって離縁するわけねえだろ…んだよ、帰りてえ か?」

「そんなはずっ…無いに決まってるでしょ」

キッと眼を見すえてそう言ったら、にやと笑って

「それ聞いて安心したぜ。俺様が一度手に入れたお宝を今更、 手放すわけがないだろ?」

宝物…扱いしてくれてたんだ、一応。

「だから安心して俺の子を産んでくれて良いんだぜ?」

そう言って珍しくしょげてしまった私の頭をいつも通りわしゃ わしゃと撫でてくれた。

<お、おしまい…!>

~☆~★~☆~★~☆~★~☆~★~☆~

何故かこうなってしまいました…長曾我部夫妻。(だいぶ夏草の賦の影響をうけているな…・汗)
菜々さんのお兄さんが明智軍の斎藤利光さんだから、最初織田軍と仲良かったのに後で仲たがいしたとか、実際はそんなに明智関係なかったとか…聞きかじりの浅い知識。(滝汗)
ではでは、失礼しました。

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