国境の東、太陽の西
敵が、攻めてきた。
「愛も、一緒に戦います」
「駄目だ」
「どうして…」
他領へ攻め込みに行くのなら、ついていけないのもまだわかる。
留守を護らねばいけないから。
でも、今は自領が攻め込まれているのだ。
「愛とて。この家に来てから武術も一から教わり直しました。お役にたちたいのです」
「愛がでるまでもねえよ。良いか?城の外には出るなよ」
『お役に立ちたい』と『言い付けを護らねば』の葛藤の末。
結局、政宗を助太刀しに行くことに…。
「ありがとう、蔦ちゃん」
協力者は小十郎の妻・蔦。
二人は薙刀を手に取り、
「良いのよ愛ちゃん。暴れましょうねっ!」
奥州双竜の妻達、出陣(笑)
「…あっ…!?」
「今の姫君様??」
「愛ちゃんだ」
「お嬢だ!」
「筆頭が(その愛さのあまり、さらわれるんじゃないかと心配で)城外ヘ出したがらない姫が何故」
戦闘中の伊達兵達も、だんだん気付き始めた。
「お待ちなさいっ!」
駆け付けた愛は彼女のダーリン(笑)とまさに戦おうとしている赤いのに向かい…今まで出したこともなかったような大声を張り上げる。
「あいつ…!何やってんだ…来るなって言っただろ」
「なっ戦場に女子…!破廉恥なっ」
もちろん赤いの=幸村は顔も真っ赤にして進撃を止め、呆然と立ち尽くす。そこへすかさず愛は声高らかに、
「破廉恥なっ…!?此処は愛の(ダーリンの)お城で領地ですっ!愛は自領にいるだけです!そこへ勝手に攻め込んできたのは貴方じゃありませんか!?」
普段しなれないことをしてるうちに、いつもよりテンションは上がってゆく…。
相手が、というより皆が「あの温和そうな姫が!ありえない!」
と、怯んでいるうちに、もっとまくし立てた。
「名乗り忘れておりましたが、私は田村愛、田村清顕の一人娘です!もし男に生まれておれば家を継ぎ、そこのダーリンに仕えて戦うのも軍議をするのも馬で何処へ行くにも一緒だったはずです。 それが女に生まれたばかりに、こうして戦場に出ただけで怒られむぐわぁっ!?」
いつの間にか駆けつけ、手で口を塞いだのは外ならぬ政宗。
「OKわかったよ、愛」
愛がここまでするなんて。
あんまり相手してやらなかったから、いろいろ溜め込んでグレてしまったんだろうか…流石に悪かったのかな…と反省?し…。
「頼むから城内に帰れ」
指示を出す。
それを聞いた愛はまた葛藤に襲われ複雑そうに考え込んで…。
政宗を見上げた。
顔を少し赤らめ小声で、
「…じゃあKissしてくれたら戻る…」
政宗もこれには目を見開いて驚き…。
はあぁぁ!?こいつ、とんでもないこと言い出しやがった…あ、
でも西洋じゃ挨拶がわりらしいしな…それで大人しく帰るなら軽いものかと…。
「…したら素直に帰れよ?Honey…」
そう言って愛の額に口づけた。
「うっうわあああ!!伊達領は、破廉恥でござる-!!!」
この一連の動きを目の前でやられた幸村は、元来た道を来たときよりも早く全速力で引き返していった…素直に帰ったのは、幸村のほうだった。
本格的なParty(一騎打ち)が始まる前に終了してしまい、残 された政宗は、
「(何だったんだ?一体…)俺が今日のことで家臣達になめら れたらお前のせいだからな?」
まぁそんなことさせねえけど、と愛に言っておいた。
しかし愛は、まさか本当にしてもらえると思ってなかったので…。
(絶対、嫌がると思って、ああ言ったのに)
幸せな放心状態のため、その声が届くのにだいぶ時間がかかりそうである…。
蔦は、
「なぁーんだ…ラブラブじゃない。心配しちゃった」
ほっと胸を撫で下ろす。
「やっぱり姫を連れ出して暴れてたのは、おめぇか…」
横に来て、溜息をつくのはもちろん…。
「そうだ、こじゅさん私にも」
蔦は自分の額を指で突く。
「そうだそうだ、やれやれ-」
と、横合いから言い出したのは、これを流行らせて自分のこと はうやむやにしてしまおうと思ってる筆頭。
「…。(やれやれ、仕方ない奴らばっかりだ…)」
「うわっなんか鼻で笑われた」
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調子に乗って、桃桜さんに差し上げた戦国BASARAだから出来る(?)伊達夫妻の話、でした…!
(これでも崩さないように健闘したほうなんです私の力量では!・笑)
頼れる姐さん・お蔦ちゃんも桃桜さんよりお借りしてます…!(いつもありがとうございます!!)
そういうわけで微妙に片倉夫妻も少しだけ出て来たり、まだ愛と安岐との面識が無い頃だったり…。
あれですね、ウチの幸村はよく攻め込んでくるわりに、すぐに追い帰されますね…。
いろいろとワケのわからない話でごめんなさいっ…!!(謝)