なりみい

※2ネタ。三兄弟も、もれなく出てきます。


 

 今、あなたに問う 

 

「あまりに酷いなさりよう」

いつになくご立腹なのは、毛利の奥方・美伊さまである。

「敵ではなく味方に、それも総大将に倒されるなんて」

「ふん。それしきのことで倒れる輩など駒にもいらぬわ」

言い返すのは、もちろん元就。

「んまあっ!その、駒の補充は、一体誰がすると思っているのです!」

「「「(あれ母様、問題なのは、そこなんだ)」」」

こっそり襖の隙間からうかがっていた三兄弟は心の中でそう突っ込んだ。
そもそ もことの始まりは彼等がちょっと戦闘中の元就の所行について実母に相談したこ とだったりする。

『たとえ養子に出されても隆元・元春・隆景は私の可愛い息子。
 この次もしっか り』

『母様、その…戦場での、父様ことなのですが』

長男の隆景がそう切り出して、かくかくしかじかと説明した。
流石の美伊も眉を寄せ

『!それは酷いです…毎度のことと言えば毎度のことです が』

『まぁ…確かに』

悲しくうなづく三人。

『母様が話をつけてきてあげます。
大丈夫、お前たちから聞いたなんて言いませ んから』

と、言うので母様に任せれば安心!と、三兄弟はひとまず胸を撫で下ろしたのであ った。
…そして話は本題に入る…

「よりによって『殴れ印』を攻撃中に味方を巻き添え にするなんて!」

『殴れ印』とは、攻撃すると小判がちゃらりーんと出てきたりする、2のアレであ る。
他にも大砲が撃てたり障害物が壊れたりするものもあるが、今回元就が味方 足軽達を巻き添えにしたのは、一番見かけることの多い小判が出てくるやつであ った…。

「戦の支度に、小判が入り用なのだ。
それくらいわからぬお美伊ではなかろう。

「だからといって…毛利の兵は小判以下なんですか!?」

『なにげ母様も酷い おっしゃりよう』

襖の向こうで息子達は突っ込んだ。

「他の敵と戦っているとき につい味方にまで攻撃してしまうことは、よくあることですが!」

「ないですよ母 様!」
「他国の総大将は敵しか斬りませんよ母様!!」
「もっと他の領地の武将、見てください母様!!!」

三兄弟は、耐えきれなくなって思わずそう叫んでしまった。

「…やはり隆元・元春・隆景から聞いたのか」

襖の向こうから飛びだした3人を冷ややかにいちべつした。

「…ぎくっ」
「…ぎくっ!」
「…ぎくっ!!」
「…ぎくっ!!!」

全く図星その通りな、美伊と襖の向こうの三兄弟。

「その辺の雑魚どもの相手をしておれば良いものを。
 のこのこ無防備に近づいて くるのが悪いのだ。
 おまえたちも息子と言えど邪魔すれば容赦はせんぞ」

それだけ言うと、ふんっとばかりに立ち上がって出て行ってしまった。半泣きで 落ち込む三兄弟。

「…もぅ、いつものことといえば、いつものことじゃありませんか」

美伊は夫の後姿を見送りながら、ふぅっと溜息をつき、息子たちを慰める。

「あまり気に しないで、これからもお仕えしなさいね?」

「はい…母様」

「あと、他所は他所、ウチはウチだから!比べちゃダメよ?」

「…はい…母様…」

父様に文句なんか言えるの母様くらいだから、それとなく相談してみたけれど。
母様、父様以外アウトオブ眼中だからな…あんまり意味無かったな…三人は、た め息をついた。

私にしか私のことがわからないように、貴方のことも貴方にしかわからないので しょうね。
それは仕方の無いことだわ…でも。
(人はみな孤独だけれど…あなたを独りにはさせません)

実の息子三人を慰めた後、夫の後を追う美伊。

「まったくもう…【息子と言えど容赦はしない】なんて。
誰が産んであげたと思 っているのですか」

やっと見つけた、背中に向かって話し掛ける。
クチほどには 、そんなに怒っていない…その証拠に、美伊は少し笑っている。
それを知ってか知らずか元就は

「下の二人は養 子に出した…我はもう父親ではない。隆元も跡取りであるが我とは他人だ」

父親 だなどと思わぬことだ、と言い放つ。

「たとえ、そうだとしても。産みの親は元就様とこの美伊で す」

他人なはずがありますか、と挑戦的にほほえむ。

「尊敬を失わないように、 ね?」

「…お美伊は…よく我についてこれるな」

美伊は、背後に近づき、元就の隣に座る。

「私は、殿の妻でございますもの」

「そうだったな。…今さら離縁などしてやらぬから覚悟せよ」

「…!…はい。当たり前じゃないですか///」

一瞬驚いてから、美伊は嬉しそうにほほ笑んだ。
 

 
 

<おっしまい!>  

~☆~★~☆~★~☆~★~☆~★~☆~

 

2プレイ中に感じてしまったことを、思わず文章化。
三人の子持ちにしては二人とも若いね!なんて言っちゃダメです。
ウチの美伊は策士というか、策士修行中というか…どんなに元就がツンデレでもへこたれない、ある意味ツンデレ キラーですね…。
それでも、基本・元就に従順。
ウチの殿をよろしくね!という感じで、味方集めに、ひと役かっていて欲しいですな…!


 

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